1960⇒1969

吸血ゾンビ(1966)

"PLAGUE OF THE ZOMBIES"
イギリス / ハマー・フィルム・プロダクション

[Staff]
制作:アンソニー・ネルソン・キース
監督:ジョン・ギリング
脚本:ピーター・ブライアン
撮影:アーサー・グラント
メイク:ロイ・アシュトン
特撮:レス・ボウイ
音楽:ジェームス・バーナード
配給:20世紀FOX

[Cast]
フォーブス卿・・・アンドレ・モレル
シルヴィア・・・ダイアン・クレア
ピーター・トンプソン・・・ブルック・ウィリアムス
アリス・マリー・トンプソン・・・ジャクリーン・ピアース
クライヴ・ハミルトン・・・ジョン・カーソン
デンバー・・・アレクサンダー・ダヴィオン
ジャック・スウィフト警部・・・マイケル・リッパー
トム・マティナス・・・マーカス・ハモンド
ジョン・マティナス(ゾンビ)・・・ベン・アリス

[Story]
1860年8月、コーンウォールのとある村で村人が謎の伝染病で変死する事態が頻発していた。地元の医師・ピーター・トンプソンはその原因究明に窮し、恩師ジェームス・フォーブス教授に助力を求めた。教授は娘のシルヴィアを伴って村を訪れると、そこは死の恐怖におびえる村人たちと傍若無人な振る舞いを繰り返す領主ハミルトンの一味が横行する陰気で排他的な土地だった。フォーブス父娘はピーターとアリス夫婦と旧交を温めるが、体調芳しくないアリスはその夜に人目を忍んで外出し、森の中へ吸い込まれるように消えた。シルヴィアがそれを追うと、炭鉱付近の丘の上で不気味な男がアリスを投げ落とす現場を目の当たりにする。翌日、森の中でアリスの無残な死体が発見された。アリスの葬儀の後、何者かにその墓が暴かれた。フォーブスとピーターが駆け付けたために遺体が奪われることは無かったが、その刹那、アリスの遺体が動き出した。ゾンビだ。犯人は領主ハミルトンだった。彼はハイチでブードゥの呪術を身に着け、自らの炭鉱で賦役として働かせるために村人をてゾンビにしていたのだった。そして、ブードゥの魔手がシルヴィアに迫っていた。

[Text]

1960年代前半、ユニバーサル・ホラーのリメイクを中心に映画作りを続けていたハマー・フィルムは、マンネリズムの壁に突き当たってしまった。実際、この時期のハマー・ホラーは、クリストファー・リーのドラキュラ映画の不在もあって迷走期に入っていた。そこで、ユニバーサル・ホラーのモンスターとは違う切り口としてハマーが目を付けたのがヴィクター・ハルペリン監督による『恐怖城』(1932)、すなわちゾンビ映画だったのである。呪術師がブードゥの魔力を以て「生ける屍」を悪事に利用するというプロットを借りて作られた本作は、腐りかけているゾンビのメイクや、ゾンビが土中から這い出す演出などが斬新で、後世のゾンビ映画に凄まじい影響を与えることになった。まさに古典ゾンビからモダン・ゾンビへのバトンとなった作品と言える。世界初のカラー・ゾンビ映画であり、それまでのゾンビ映画の集大成ともいえる作品なのだ。

日本では戦前に公開されたゾンビ映画は『恐怖城』のみで、『吸血ゾンビ』は本邦公開二本目のゾンビ映画となる。

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